イスラエルのアラブ地域では、6月16日(イスラム暦12月10日)から4日間、イスラム教の「犠牲祭(イード・アルアドハー)」が祝われた。
犠牲祭は、ユダヤ教、キリスト教、イスラム教が聖典とする旧約聖書に登場する信仰の祖アブラハムが、正妻サラとの間にもうけた一人息子イサクを、神の命令によって祭物としてささげようとしたところ、雄羊が身代わりになったという伝承に由来する。イスラム教では、イサクではなく、女奴隷だったエジプト人のハガルとアブラハムとの間に生まれたイシマエルとなっている。
祭り初日の朝、イスラム教徒たちはモスク(イスラム礼拝所)に出向いて礼拝した後、それぞれ家に帰って、牛や羊を屠(ほふ)る。アラブ人の友人は祭りの期間、家族が集まったり、嫁に行った娘たちの家を巡ったりしてお祝いしたようだ。
エルサレム旧市街のイスラム教聖地ハラム・アッシャリフ(ユダヤ教呼称「神殿の丘」)には祭りの初日、約4万人のパレスチナ人が訪れた。テロ組織ハマスによる昨年10月の襲撃以来、パレスチナ自治区ガザでイスラエルとハマスが戦闘を続ける中で行われた犠牲祭は、祝祭の雰囲気はなく、戦争の犠牲者を悼む雰囲気だったと報じられた。
戦時内閣を辞任した元参謀長が自身の公式「X」で、兵役や警察業務に就いているドゥルーズ派などイスラム教徒に祝辞を述べたそうだ。
ここで安全に暮らすためにはさらなる犠牲が必要だという。悲しい限りだ。(M)