【上昇気流】ツバメの子らが巣立った

ツバメ

ツバメの子供たちが先週、巣立った。勤務先の通用門の軒下の巣からである。いつの間に巣を作ったのか、出勤と退勤の2回しか通らない場所とあって、全く気付かなかった。それが先月半ば、ピッピッピッと鳴き声が聞こえるので見上げると巣があった。

ある日の帰り、巣を眺めていた小学生が鳴きまねをした。すると、ヒナが一斉に巣から顔を出し、口を広げてピッピッピッと応えた。しかし、親鳥は来ない。

ヒナは巣に潜った。児童はまた鳴きまねをする。ヒナはまた顔を出して鳴く。それを繰り返しているうちに親鳥が餌を持って帰って来た。ピッピッピッの鳴き声が一段と高まった。

こうしてヒナは巣立って行ったのである。今は兄弟仲良く電線に止まり、時折周囲を旋回している。そのうち親と子の違いも分からなくなり、9月ともなれば、近くの葦(アシ)の生い茂る川辺に集合し、遠い南の国へと飛び去って行くのだろう。そんな想像をすると実に楽しい。

それにしても親ツバメには感心する。餌を与えるためにひたすら舞い続け、養育の義務を立派に果たしているのである。それもごく当たり前の営みとして。人権ならぬツバメ権は、そうした親の義務によって守られている。

昨今の日本では、子供の権利が叫ばれても親の義務についてはとんと話を聞かない。これはいかに? ツバメに聞けば「権利栄えて義務すたる」とでも言うだろうか。ツバメより劣る身では、ちと寂しい。

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