
フィリピンで狂犬病は死の危険が高い身近な感染症の一つで、今年の死者はすでに160人に達している。
狂犬病という日本語名から勘違いしやすいが、感染源には犬だけでなくあらゆる哺乳類が含まれる。実際フィリピンでは死者のうち少なくとも10人が猫から感染している。
フィリピンでは都心でも野良犬のほか、誰が面倒を見ているのか分からない放し飼いの犬が多く徘徊(はいかい)している。たとえ首輪が付いていたとしても狂犬病ワクチンを接種している確証はないので、自分が飼っている動物以外にはできるだけ触れないようにすべきだ。
そして、もし犬や猫に噛(か)まれた場合は迅速に各地の「アニマルバイト・センター」に行って、ワクチン接種を受けることが鉄則だ。
狂犬病はウイルスが脳に達すると致死率ほぼ100%という恐ろしい病気だ。つまり頭部に近い場所、例えば足を噛まれた場合より手を噛まれた場合の方が発症が早まる。噛んだ犬が狂犬病に感染しているかどうか調べることよりも、とにかくワクチン接種が先決だ。
マニラ市では13歳の少女が犬に噛まれた際にワクチン接種を受けず、2カ月後に恐水症を発症。ウイルスが脳に達して手遅れになり死亡した。
保健省はワクチンを接種した動物であっても唾液に狂犬病ウイルスが潜んでいる可能性があると指摘し、ペットにキスしないよう呼び掛けた。(F)