【上昇気流】「お通し」は姑息な商習慣

お通し

政府観光局の発表によると、今年に入ってから5カ月の訪日外国人の数は1464万人。年間の過去最高を記録した2019年(1375万人)を上回った。観光庁の高橋一郎長官は「このままのペースでいけば、24年は、旅行者数、消費額ともに過去最高を実現できる」と述べている。

英国の旅行保険会社が行った「もう一度訪れたい国」のランキングで1位になるなど、日本の評価は高い。豊かな文化や多様な見どころが旅行者を満足させていることが分かる。

多彩な食文化も大きな魅力だ。寿司がその筆頭だが、比較的安い値段で美味(おい)しい料理を提供する日本独特の居酒屋も人気だ。東京に限らず観光地の居酒屋や料理店で多くの外国人の客を見掛けるようになった。

そこで気になるのは、こうした店では飲み物を注文するとまず「お通し(突き出し)」が出されることだ。注文もしないのに酒のあてが出てきて、サービスかと思いきや、後でしっかり料金を請求される。外国人にはまず理解できないだろう。事実トラブルも起きている。

安い値段で客を寄せる一方、少額とはいえ、追加でお金を取るのは、いかにも姑息(こそく)な商習慣である。これが「おもてなし」の国かと、首を傾げるのではないか。

有料のお通しは日本人客にも評判が悪く、出さない店も増えている。お通し自体は食事の流れとして悪くないと考えるのであれば、無料で提供すればいい。その方が客の盃(さかずき)と箸も進み、店の利益になるはずだ。

spot_img
Google Translate »