
6月21日、夜7時半のNHK首都圏情報で埼玉県立高校の共学化問題を取り上げていた。
番組ではジェンダー論を専門とする東京大学大学院総合文化研究科の瀬地山角教授がジェンダー平等の観点から「公立校は公費で運営されている。男女の教育の機会均等に反する」と共学化の根拠を述べていた。
同教授の主張はリーダー育成を掲げる県トップの浦和高校に「女子が入れないのはジェンダー平等に反する」というわけだが、男女の「区別」を「差別」とはき違えている。そして、思春期の発達特性を考慮すれば、共学化すればよいというものでもない。
例えば、私の母校は元男子校で当時の男女比は6対1と、圧倒的に女子が少なかった。そのため、7クラスのうち3クラスが共学、4クラスは男子クラスだった。一つの高校の中に男女別学校と共学校が混在しているようなものである。
当時の印象は、男子クラスの男子の方が伸び伸びとして個性的な人が多かった。一方、共学クラスの男子は“ガリ勉女子”に押され気味だった印象がある。
5年制の高専(高等専門学校)開校3年目に入学した私の姉は、学年で女子は3人しかいなかった。NHKの朝ドラ「虎に翼」の主人公が入学した法学部と同じで、女子にはかなりストレスフルな環境だった。
いずれにせよ、ジェンダー平等を根拠にした共学化議論ではなく、やはり当事者の思いが大切であろう。男女別学高12校の生徒・保護者を対象にした調査では、浦和93・5%、浦和一女90・6%、川越女子88%など進学校での「反対」が9割に上ったという。
各校の歴史・伝統を考えれば、予想通りの結果である。
男女平等のアメリカでは2006年の法改正で、公立校の男女別学が認められるようになった。高校の魅力化、多様性が求められる中、画一的なジェンダー平等を持ち出すのは周回遅れの議論に見える。
(光)