【上昇気流】(2024年6月20日)

宮城県美術館

仙台市にある宮城県美術館の本館は、改修工事のために長期休館している。リニューアルオープンは2025年度中の予定だという。ここにある人気の展示の一つが「洲之内コレクション」だ。

オープンを楽しみにしているファンもいることだろう。美術評論家で東京・銀座にあった現代画廊の画商としても有名だった洲之内徹のエッセー『気まぐれ美術館』や『絵のなかの散歩』(新潮社)は文庫化され、手に入りやすくなったが、すでに絶版に。

そして昨年が生誕110年に当たり、それらの文章は新たに編集されて『洲之内徹ベスト・エッセイ1』(筑摩書房)として刊行された。

だがこれを編集した椹木野衣さんは、洲之内の文章から判断して、彼を美術評論家としてよりは小説家と認識していたらしい。作品の選別という観点からもそのことは感じられる。

「セザンヌの塗り残し」という文章で、彼は「私のコレクションは、世間で名作といわれるものを集めたものでもなければ、各時代の巨匠・大家といわれる作者の作品を集めたものでもない」と記した。

コレクションが生まれたのは画商のゆえだったが、「手放したくないものを手元に残していった」という。手放したくない気持ちとは何なのか言葉に窮するが、「その絵を私の人生の一瞬と見立てて、その絵を持つことによってその時間を生きて見ようとした」と思いを語る。これが遺品として残された洲之内コレクションなのだ。

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