
トヨタ自動車など自動車メーカー5社は量産に必要な認証「型式指定」の不正申請でミソを付けたが、不祥事の根は深いのではないか。わが国はものづくり大国だったが、昨今の企業の生産性低下は技術の発展方向を見失っているからとさえ言われる。
米国では、有人宇宙船が国際宇宙ステーションとドッキングを果たし、大型宇宙船「スターシップ」が打ち上げに成功。宇宙旅行を目指す方向性を明確にしている。
その前、米国では通信革命があり、遺伝子工学を利用した医療産業など、国家が強力なてこ入れをして新産業をクリエイトしてきた。今、有人宇宙飛行関連の技術開発に拍車が掛かっており、大企業が動きベンチャー企業(スタートアップ)が力を得ている。
ところが、日本は官民が連携する強力な産業政策をなかなか打ち出せないでいる。そんな中、各国が技術開発や販売で劇烈な競争を繰り広げる自動車業界では活路を開くのに四苦八苦。今回の大手の不手際は政策不在ひいては国家の劣化と無関係でない。
一方、ベンチャー企業活躍の方策として政府は一昨年に「スタートアップ育成5カ年計画」を策定したが、これも低調だ。大企業が従来の生産方式を引きずり、新興企業が参入できないでいる。
問題の根底にあるのは「有名中学・高校から有名大学へ、そして有名大企業への就職が人生最良の途としてきた『単線型教育』」(小林靖雄、瀧澤菊太郎編『中小企業とは何か』)。うなずける。