【政界一喝】汚点政治から挽回に準備を

6月初旬、岸田文雄首相は今国会会期内の衆院解散を見送り、また23日までの会期延長もなしとの報道が出回った。政局に一区切り、いや、それ以上に自民党内ではしばしの安堵(あんど)すら感じさせた瞬間だったのではないか。

4月末の衆院3補欠選挙に続き、5月の静岡県知事選など、自民公認・推薦候補が連敗。今解散され、総選挙に突入してはたまったものではないとの自民関係者のやるせなさが充満しており、その中での発表であったからだ。

10日発表のNHK世論調査で、岸田内閣の支持率は前月比3ポイント下落し21%で発足後の最低を記録。不支持率は5ポイント上昇し60%だった。自民党の支持率も、2ポイント下がり25・5%で、2012年の政権復帰以降で最低だった。9月の党総裁選には「岸田氏再出馬の資格ナシ」との声がもっぱらだ。

政権支持を失った後も、国民意識と乖離(かいり)したまま政権を維持するという非効率な政治沼から抜け出せない岸田政治。日本政治史上の非民主主義的政権の一つの悪例として刻印されてきた。今後、同じことが起きないよう、研究者らも政治の諸制度を点検し、改善に向けた教訓を提示してほしい。

このタイミングで菅義偉前首相は、現政権の自民党内非主流派、かつ、岸田政権末期の派閥問題とは対岸の無派閥シニアとして、自民党次期総裁選びの要として注目されている。多くの政策を実行しながら、説明不足やコロナ禍の不運もあって21年秋、1年間の短命で退陣した。

「不妊治療の保険適用」や「携帯電話料金の値下げ」などの実績は、物価高の今日、再確認されるべきところだ。岸田氏による解散が会期内見送りと決まるや、かつての自身の政権閣僚らとの会食が近日、象徴的に報じられたが、この3年間の本人の態度からも、菅氏再登板との見方は皆無だ。

菅氏が思い起こすべきは、2年前の安倍晋三元首相の国葬儀で追悼の辞に臨んだ心境だ。

「かたりあひて 尽しヽ人は 先立ちぬ 今より後の 世をいかにせむ」

外交では力あるものに迎合して日本自立の矜持(きょうじ)を放棄、社会政策では大多数の女性の安全と人権を脅かし、憲法に明記された信教の自由を軽んじるなど、岸田政治は基本的政策において日本社会に数々の汚点を残した。

せっかく政治資金規正法を改正する機会を得ても、外国人資金により国民の安全が脅かされ得る脆弱(ぜいじゃく)性について、議論は深まっていない。多額の金を手にしているのに、武力侵攻を辞さぬと公言している核心政策の台湾問題に内政干渉する、だからあなたの民は火の海行きだ、との某国政府の思考回路を考えてみるべきではないか。

こうした現状の日本を、それでも再生させなければならない。国民にはそれを共に成し遂げる底力がある。政治の挽回に向けた準備の必要性を、菅氏、また志ある政治家らも心して今、改めて考えてほしい。(駿馬)

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