トップコラム【上昇気流】(2024年6月13日)

【上昇気流】(2024年6月13日)

北口本宮冨士浅間神社の冨士登山道吉田口

山開きの便りが各地から送られてくる。5月から6月にかけて行われる所が多く、富士山の場合、山梨県側の吉田口登山道では7月1日だ。山に登る人は一年中いるが、この行事は山岳信仰の歴史に由来している。

山々は修験者のみが入ることができた神聖な領域だった。が、登りやすい夏の時期を定めて一般の人にも開放し、安全を祈願した。山の名前の多くが修験道に由来していて、霊性の啓発を目的にしていた。

現代人は自然を求めて山に行き、体力づくりや、仲間との交流も願って山に登る。自分の体力に見合った範囲で登るにはいいが、運動をしていない人がハードな登山をすると苦しいばかり。

運動生理学を専門にする山本正嘉さんの『登山と身体の科学』(講談社)は、登山がユニークな性格を持つ激しい運動で、どのような準備をすればよいかを教えてくれる優れた指南書だ。

気流子も学生時代、1年間に90日も登山をしていた。しかし、この内容を知っていればトレーニング方法を変えていただろうにと教えられる点があった。その頃、足腰を鍛えるためにひたすら走っていた。

実際、山は好きだがトレーニングは嫌いという仲間が多かったのだ。山本さんの勧めるトレーニング方法は、週に1度、高さ500㍍程度の山に登ること。月に換算すると2000㍍になる。これをスロー登山と呼び、本格的な登山をする上で絶大な効果をもたらすという。科学的な実証による提言だ。

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