【上昇気流】(2024年6月7日)

厚生労働省が発表した人口動態統計によると、2023年の合計特殊出生率は過去最低の1・20で、東京都はついに0・99と「1」を割り込んだ。人口問題における東京の「ブラックホール」化がますます進んでいる。

統計発表と同じ日、岸田文雄首相が掲げる「次元の異なる少子化対策」のための改正子ども・子育て支援法などが成立した。児童手当の所得制限を撤廃し、支給期間を高校生年代にまで延長するなどがその柱だが、これで少子化に歯止めがかかるとみる人は少ないようだ。

新制度では第3子以降の支給額を月3万円に増額する。ご褒美の意味も込めて、これくらい支給するのは悪いことではない。しかし、その前にそもそも結婚しない若者が増えている。統計では婚姻数は、前の年より3万213組少ない47万4717組にとどまった。

さらにいわゆる価値観の多様化で、結婚しても子供をつくらないカップルが増えている。政府はこういった価値観や人口のブラックホールと化した東京への一極集中問題まで見据えて、本当の意味で次元の異なる対策を講じなければ、少子化の流れを逆転させることは不可能だ。

一極集中を打破しようというのであれば、近代に入ってからの日本の人口の流れを大きく変えるような大きな構想と仕掛けが必要だろう。

田中角栄元首相の「日本列島改造論」は、弊害も残したが、スケールの大きさに情熱が表れている。政治家の志が問われている。

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