
イスラエルにスイカの季節が到来した。しかし、昨年10月に始まったテロ組織ハマスとの戦争の影響で、スイカ農家では収穫作業の労働者不足が深刻化している。
イスラエルでは年間約15万4000㌧のスイカが生産されている。そのほとんどは種なしで、種取り用としてさらに約6500㌧が生産されている。
スイカ農家はこれまで、主にパレスチナ人の労働力に頼ってきた。スイカの収穫に従事する労働者は皆、熟練した専門家だ。植物協議会野菜部門長のイフラフ氏によれば、戦争でパレスチナ人のイスラエルへの入境は禁止され、放置されているスイカ農場が約15カ所あり、違法と知りながらパレスチナ人労働者を密入国させて当局に逮捕された農家もあるという。
北部ガリラヤ地域でスイカ農家を営むアラブ系イスラエル人のオマルさんは、パレスチナ人労働者30人を雇って34年間スイカを生産してきたが、今年は収穫することができないと語る。労働者確保のため農業省やイスラエル警察にも掛け合ったが、駄目だったと嘆く。スイカの収穫は重労働で、現在はスーダン人を雇ってはいるが熟練者の手際良さには到底及ばないという。「スイカは太陽にのみ込まれてしまうだろう」と語った。
一方、外国人労働者を雇っている南部地域のスイカ農場では、戦争でいったん地域を離れた約700人の労働者が戻ってきたので、既に収穫は終わったという。
毎日の楽しみのスイカが今年は割高になりそうだ。(M)