トップコラム【上昇気流】(2024年6月5日)

【上昇気流】(2024年6月5日)

天安門広場

「人民の英雄は永遠に不滅である」――。中国・北京の天安門広場に人民英雄記念碑が聳(そび)え立っている。その正面にこの題字が刻まれていた。気流子が初めて目にしたのは1980年代初めのことで、中国共産党員のガイドが「毛沢東主席の揮毫(きごう)です」と誇らしげに教えてくれた。文化大革命から解放され、幾分か明るさが広がっていた時代である。

「人民の英雄」とはどんな人か。碑文にはこんな一文もあった。「人民の自由幸福を勝ち取るために、度重なる闘争において犠牲となった人民の英雄たち」と。

89年6月4日、天安門広場には自由幸福を勝ち取るために多くの若者が集まっていた。それが「血の弾圧」によって犠牲となった。彼らはまがうことなく「人民の英雄」である。

2008年12月、後にノーベル平和賞を受賞した故劉暁波(りゅうぎょうは)氏は多くの仲間と共に「零八憲章」を世に問うた。共産党による「人権災難と社会危機」を指弾し、「自由、人権、平等、共和、民主、憲政」を求めた。そして、仲間は少なからず命を奪われた。

古来、中華を制した王朝は幾度も滅亡した。唐は「黄巣の乱」、元は「紅巾の乱」、明はヌルハチらによって、そして清は「太平天国の乱」で国力を疲弊させ、辛亥革命で余命が尽きた。こうして天命は革(あらた)まった。

共産党よ、畏れよ。次なる革命が息を潜めている。それを担い犠牲となった人々が「人民の英雄」であり、「永遠に不滅」であると知るべきだ。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »