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中国の民主化を求めて北京の天安門広場に集まった市民たちを、当局が戦車で踏みつぶしてから、きょうで35年を迎えた。その後、中国は経済・軍事大国となったものの、民主化の灯は消え、人民を監視する「異形の大国」が生まれた。
共産主義国家でありながら、市場経済を導入したところに既にその萌芽(ほうが)があった。そして天安門事件を起点として、民主化の動きや言論の自由を徹底的に押さえ付ける方向に拍車が掛かった。
一党独裁体制を維持するため、共産党に批判的な言論を弾圧するとともに、人々の民主化への関心を逸(そ)らすために経済成長によって物質的な豊かさを享受させる。そのギャップが、ますます中国をグロテスクな大国に育てていった。
いまや中国国内では天安門事件など存在しないことになっている。当局は検閲によって、事件に関わる言葉をネット上からも追放した。それに対抗するには隠語でコミュニケーションを図るしかなく、「戦車男」「5月35日」などの隠語が生まれた。しかし、これらも検閲の対象となる。
それでも中国の人々、とりわけ青年たちの自由への叫びを押さえ付けることはできない。在日中国人たちは東京各地で抗議集会を開き、「中国共産党の崩壊は近い」「私たちは最後まで戦う」と声を上げた。
中国当局は在外中国人への締め付けを強化している。それは当局が、国外に出て天安門事件の真相を知った人々を何より恐れている証拠である。