トップコラム【上昇気流】(2024年5月31日)

【上昇気流】(2024年5月31日)

えべっさんの総本社

「西宮のえべっさん」の愛称のある兵庫県西宮市の西宮神社を訪ねた。全国約3500社あるえびす神社の総本社で、右手に釣り竿(ざお)、左手に鯛(たい)を抱えたスタイルでお馴染(なじ)みのえびす様発祥の地である。

毎年1月10日前後の3日間行われる「十日えびす」には150万人が参拝する。祭事が終わると表大門が開かれ、参拝者が本殿までの230㍍を「走り参り」し、先着3人がその年の福男に認定される「福男選び」も有名だ。

社伝によると、和田岬の沖で漁をしていた鳴尾の漁師が2度にわたって網にかかった神像を持ち帰り自宅で祀(まつ)った。ある夜、蛭児(ひるこ)(蛭子)を名乗る神が夢に現れ、西の方に良い土地があるので遷(うつ)してほしいと御神託があり、現在地に祀るようになったという。

蛭子の神は『日本書紀』では、伊邪那岐尊(いざなぎのみこと)と伊邪那美尊(いざなみのみこと)の間に最初に生まれた子供だったが、3歳になっても足が立たず、葦船に乗せて海に流されたと伝えられる。その不遇な神様が人々の崇敬を集めながら商売繁盛の福の神となった。

えびす信仰は、まず漁民たちに広がった。さらに、西宮は西国街道の交通の要衝にあって商人たちの崇敬を受けるようになる。

大宰府に左遷され失意のうちに亡くなった菅原道真は、怨霊となり、その祟(たた)りが恐れられた。それが学問の神様、天神様として崇敬を集めるようになる。祟りへの恐れと同情から祀られた神様が、人々に福をもたらすというのは、日本独特の宗教風土だと言える。

spot_img

人気記事

新着記事

TOP記事(全期間)

Google Translate »