【政界一喝】首相は主権在民に立ち返れ

岸田文雄首相
岸田文雄首相

通常国会の会期末(6月23日)までひと月足らずとなった。岸田文雄首相はその会期末をにらみつつ、専権事項としての衆院解散の可能性を模索するが、首相を党総裁に頂いて選挙を戦える与党の情勢にはなく、その道は険しい。

4月末の衆院3補欠選挙に続き、直近5月26日投開票の静岡県知事選でも自民党推薦候補が敗れた。政局は7月の東京都知事選を経て、9月の自民党総裁選に向かうが、政権支持率は長期低迷を続けており、遅かれ早かれ岸田氏は退陣を免れまい。

今国会では5月10日、「セキュリティー・クリアランス(適性評価)」制度創設にむけた経済安全保障法案が与野党の賛成多数で可決した。これに先立ち2013年末に成立、その1年後に施行となった「特定秘密保護法」を土台に、同法はわが国の経済安保に関わる情報保全体制を先進諸国並みに強化する。そうして同盟国や同志国からの信頼感を増し、企業の国際的なビジネスチャンスを広げる環境を整えたことは大いに評価に値する。

だが、昨年暮れ以来の政治資金不記載問題は今日に至るまで長引いている。政治資金規正法の改正に向けて歩を進めてはいるが、政権および自民党、また政治そのものに対する国民の信頼は地に落ちたままだ。

もとより今年1月末には、東京地検特捜部の大動員体制が、政治家や派閥の会計責任者らの犯罪性について結論を出している。この大前提に基づくテンポのよい解決への指導力が首相には欠けていると言わざるを得ない。

岸田首相は今日、戦後35人の首相のうち歴代8位の在任期間を数えることとなったが、もはや国民から支持されない政権は、延命するほどに日本の政治を停滞させ、国益を損なう様相だ。4月に岸田氏が国賓待遇で訪ね、首脳会談を行ったばかりのバイデン米大統領からは帰国後まもなく、「日本人は外国人嫌い」と聞かされた。

5月に台湾の頼清徳総統の就任式に超党派の日華議員懇談会(会長=古屋圭司衆院議員)31名の衆参国会議員が台湾に駆け付けると、今度は呉江浩・駐日中国大使から「日本の民衆が火の中に」と聞かされた。

いずれも日本国民一人一人が、二大覇権国の政府から蔑視の対象になったものだ。

岸田氏は自民党の政治資金問題でも、党総裁また派閥会長としての自身の責任を不問に付した。党では政治刷新本部長でもある岸田氏だが、政治資金規正法改正の議論では、外国資金による国政への影響評価は封印したままだ。これらは端的に、自己保身の一方で、日本国および日本国民を諸外国に対して脆弱(ぜいじゃく)な状況にさらすものだ。

国民の支持を失った首相に外交パフォーマンスはもとより期待できないが、己の地位にのみ執着するがごとき首相が「張りぼて」と見透かされ、国民が覇権国から直接に侮蔑の対象となる現状は許容できない。主権は在民である。首相たるもの、この大原則に立ち返るべきだ。(駿馬)

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