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統一に向けた中国の圧力が強まる中、台湾の頼清徳政権が発足した。小紙連載「始動する台湾新政権」に掲載された街の声。新北市の53歳女性は「台湾を焦土にしてしまえば、中国にとっても価値がなくなってしまう。だから台湾は安全な所だよ」と。
人々の心の余裕、その強さが如実に表れている。与党・民進党が初めて政権を奪取した2000年に台湾各地を取材したが、一般の人たちが海外に目を向け論じるゆとりはまだなかった。この四半世紀に住民意識は大いに変わった。
人口2300万人余。半導体産業の好調な輸出と大規模投資などで、コロナ禍の21年にも6%という記録的な高成長を達成し、1人当たり名目GDP(国内総生産)は3万米㌦を超えた。国民の自信の背景にはまず経済的発展がある。
この間、民主主義の浸透があり広範な学生運動も経験した。「自分たちのことは自分たちで決める。私たちには政治システムがあり、憲法があり、社会全体を規制する法律、軍隊もある」と蔡英文前総統(同連載3)。
この豊かな国土を、中国が自分たちの一部だとして狙う。中国軍は台湾周辺で演習をして台湾の世論の分断を図り、意気阻喪をもくろんでいる。世界に強い中国をアピールし、親中国の国々をつくることに余念がない。
中国の野望をくじくための日本の役割は小さくない。米軍の後方支援の準備を着々と整え、決して中国の侵略を許さないという国内世論をさらに高めることだ。