【上昇気流】(2024年5月24日)

内外情勢調査会で講演する石川県珠洲市の泉谷満寿裕市長=5月22日、東京都千代田区

「建物の解体撤去が生活、なりわいの再建につながる」――。石川県珠洲市の泉谷満寿裕(ますひろ)市長は、東京で講演し、能登半島地震で全半壊した建物の迅速な解体撤去の必要を訴えた。全半壊の建物は、珠洲市で約7500棟、県全体では約2万5000棟に上っている。

泉谷市長は「人口流出を防ぐためにも迅速に進めなければならない」と強調する。震災からの復興は、何もない更地になったゼロの状態ではなく、倒壊家屋の撤去というマイナスから始めなければならない。

更地は画家にとっての白いキャンバスと同じように、そこに何かを作り描こうという意欲に繋(つな)がる。倒壊家屋がまだそのままになっている風景を見続ける限り、未来のイメージを描くことは難しい。

珠洲をはじめ能登の人たちは、その自然や風土、地域コミュニティーに強い愛着を持っている。しかし未来の姿を描けなければ、見切りをつけてしまうのが人情だ。そんな心理的な面からも家屋の撤去を急ぐべきだ。

地震があっても、能登の自然や魅力は保たれている。特に珠洲市は、里山・里海の保全活動や奥能登国際芸術祭の開催などで能登でも移住者の多い地域だ。「アートや先進的技術を取り入れながら復興を目指す」と泉谷市長が言うのは、こうした実績に基づいた展望があるためだろう。

公費解体がなかなか進まない原因として、解体業者の不足があるが、課題を一つずつ解決し、早く未来の復興イメージを描けるようにしたい。

spot_img
Google Translate »