オーバーツーリズムと聖火リレー フランスから

パリ五輪・パラリンピックが7月下旬から始まる。今月31日には聖火リレーが、島の上に立つ修道院、モンサンミッシェルを通過する予定で、1日の観光客数は5万人に上ると見込まれている。

世界遺産のモンサンミッシェルは、パリに次ぐ観光名所で、祭日の多い5月、今年は1日3万人を記録している。筆者も縁あって地元新聞社の依頼でモンサンミッシェルの日本版ガイドの編集をしたことがある。

フランス人の妻は、小学生の時にモンサンミッシェルの礼拝堂で聖歌隊に加わった経験を持つ。すでに50回以上、訪れたモンサンミッシェルだが、僧院から一望する景観は圧巻だ。

4平方㌔の島の中心の高台に建てられた僧院は8世紀に工事が始まったと言われ、僧院に至る狭い石畳の道には、レストランや土産品店がぎっしり並ぶ。観光シーズンの4月から10月まで狭い参道は人で埋め尽くされ、歩くこともままならないほどだ。

オーバーツーリズム(観光公害)が問題になっており、僧院側は最も混む7、8月の訪問は避け、さらに混まない早朝や夕方を選ぶよう呼び掛けている。それでも夏は朝から身動きが取れない状況だ。入場制限はしないとしているが、車以外のアクセスができず、駐車スペースが入場制限代わりと僧院管理側は言っている。

駐車場料金もオフシーズンと繁忙期で差をつけたが、効果を疑問視する声もある。最近、観光局は「モンサンミッシェルは冬に訪れよう」キャンペーンを展開し、地下鉄などに広告を出しているが、1月のモンサンミッシェルは海から寒風が吹き寄せる。(A)

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