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12の国と2地域から成る南太平洋島嶼(とうしょ)国地域。中国の進出が顕著となり、2019年にソロモン諸島とキリバスが、今年1月にはナウルが中国と外交関係を結んだ。現在、台湾と外交関係があるのは3カ国だけ。台湾の国際的影響力を削(そ)いでいる。
先月、総選挙が行われたソロモンでは、親中派と反中派の勢いが拮抗する結果に。ソロモン政府は先に中国と警察協力協定を締結しており、中国の警察要員配備の可能性がある。
この地域は戦略的に重要である一方、潜在的な国力も注目される。島嶼国で狭い領土だが、各国が所有する200カイリの排他的経済水域(EEZ)の面積や体積は大国並みの大きさ。漁業・鉱物資源の量は計り知れない。
例えば人口約13万人のキリバスのEEZ面積は343万平方㌔で世界10位(日本は6位)、体積は1640万立方㌔で3位。ミクロネシアは体積1170万立方㌔で7位(日本は4位)など。だが国家の海洋警察の規模はなべて小さく、軍隊所有は3国のみだ。
日本にはキリバスなど友好的な国が少なくない。数年前、キリバス名誉領事(当時)のケンタロ・オノさんへのインタビューで「日本は同じ太平洋の島国であり、お兄さんのような立場だ」「国民同士の交流を願っている」と言われた。
文字通り国民間の交流ができるわが国の役割は決して小さくない。同志国の安全保障のニーズに応える「政府安全保障能力強化支援(OSA)」による協力も必須だ。