トップコラム【上昇気流】(2024年5月9日)

【上昇気流】(2024年5月9日)

フジコ・ヘミングさん

世界中で演奏活動を続けてきたピアニスト、フジコ・ヘミングさんが亡くなった。葬儀は近親者で行い、後日、お別れの会を開く予定だという(小紙5月3日付)。気になったのはその会の場所。

自宅はフランスのパリ、米国のサンタモニカ、ドイツのベルリン、そして東京と京都にあったからだ。それらが活動の拠点でもあった。拠点のあったどの国でも、お別れの会が開かれるのだろうか。

小松荘一良監督のドキュメンタリー映画「フジコ・ヘミングの時間」が公開されたのは2018年6月。2年間にわたって素顔と演奏活動を追った作品で、その頃も1日4時間の練習を欠かさなかった。

1931年に日本人ピアニストの母とスウェーデン人アーティストの父との間に生まれ、東京で育ったが、家では母から厳しいレッスンを強いられ、学校では虐(いじ)められて、世界は生きやすい場所ではなかった。

28歳でドイツに留学し、ベルリン音楽学校を卒業。リサイタルで「一流の証し」を得るはずだったが、直前に風邪をこじらせ、聴力を失ってしまう。以来、スウェーデンのストックホルムで耳の治療をしつつ、ピアノ教師を続けた。

デビューは60代後半だった。母の死去を受けて95年に帰国。99年にNHKのドキュメンタリー番組とリサイタルによって大反響を呼び、CD「奇蹟(きせき)のカンパネラ」は200万枚超の大ヒットになった。生涯を貫いたのはキリスト教の信仰。少女の清い魂と夢を生涯持ち続けた。

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