トップコラム「黒海の真珠」が危ない オーストリアから

「黒海の真珠」が危ない オーストリアから

ウクライナの首都キーウからオーストリアの首都ウィーンまで直線距離は約1050㌔。ロシア軍が2022年2月、ウクライナに侵攻して以来、オーストリアにも数万人のウクライナ避難民、主に女性と子供が逃げてきた。ドイツ語を学び、生活費を稼ぐためにさまざまな職業に就いている。

ロシア軍の攻撃がウクライナ東部に限定されていた時、ウィーンに避難していた若い女性が「私は故郷に戻る」と決意し、出身地のオデッサに戻っていった。当時、オデッサやリビウはまだ戦争の影響は少なく、域内避難民も集まってきていた。オデッサに戻ったウクライナ女性は「オデッサは大丈夫だ」という判断と、「故郷に置いてきた両親に再会したい」という思いが合わさったのだろう。

そのオデッサが現在、ロシア軍によって激しい攻撃を受けている。インスブルック大学政治学者のロシア専門家マンゴット教授は1日、「ロシア軍が先月29日、ウクライナ南部オデッサでクラスター弾を使用した」と指摘、クラスター弾が落下した広い範囲で爆薬が散布された可能性があり、市民にとって危険な状況だと述べていた。

オデッサはウクライナ第3の都市。侵攻前までの人口は100万人。穀物の主要輸出港、同国を代表する工業都市であると共に、リゾート地でもあり、「黒海の真珠」と呼ばれてきた。ロシア軍は今、オデッサを第2のマリウポリ(ウクライナ南部)のように破壊するために大攻勢をかけてきている。ウィーンからオデッサに戻った女性は大丈夫だろうか。(O)

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