先日SNSで面白い投稿を目にした。「偽札を掴まされました!」との文言と共に二千円札の写真が投稿されていたのだ。もちろん二千円札は日本銀行が発行する正式な紙幣なのだが、その流通量の少なさから、存在自体を知らない人が偽札と勘違いしたのだという。
二千円札は2000年に開かれた九州・沖縄サミットに合わせて発行された紙幣で、表面の図柄には首里城の「守礼門」が描かれている。同紙幣はこれまで合計8億8000万枚が発行されているが、流通量は他の紙幣に比べて圧倒的に少ない。発行当時、自販機などが未対応で使えなかったことが原因で、国民に浸透しなかったとみられている。
一方で、沖縄においては二千円札を見る機会が多い。県観光振興課や地方銀行などが普及促進に力を入れており、県内の自販機では多くの場所で二千円札が使用可能となっていたり、ATMには二千円札を優先的に引き出すことのできる機能まで備わっている。
日銀那覇支店が公表するデータによると、県内での累計発行枚数は右肩上がりで伸び続け、今年1月時点で約800万枚となっている。実際に筆者も沖縄に赴任して間もない頃、飲食店で渡されたおつりに二千円札が混ざっているのを見て驚いた記憶がある。
しかし懸命な普及活動もむなしく、今年7月に発行される新紙幣の中に二千円札の姿はなかった。日銀にはまだ大量の二千円札の備蓄があるためだ。
海外では二十㌦札や二十ユーロ札、二十ポンド札など、「2」のつく紙幣がよく流通しているのを見ると、日本の二千円札の待遇は不遇と言わざるを得ない。
今回の新紙幣発行を契機に、新たな普及の波が全国に広がるようなことがあれば二千円札も報われるのかもしれない。
(K)