アイルランドの国民投票

アイルランド

アイルランドは世界経済フォーラムが発表するジェンダー平等指数で2023年は世界11位と、女性の社会進出が進んでいる国と言われている。

そんな男女平等のアイルランドで先月8日、女性と家族に関する法改正の是非を問う国民投票で「女性は家庭優先」という条項を削除する改正案が反対多数で否決された。

1937年制定の憲法は、「女性が家庭における義務を怠ってまでも外で働くことがないよう、国家が努める必要性がある」と記している。古い条文を削除し、家族の定義を婚姻に基づく関係から、「婚姻かその他の永続的な関係」に拡大する改正案に国民の7割超が反対票を投じたのである。

国際女性デーに合わせた国民投票だっただけに、保守党のバラッカー首相は予想外の惨敗を受け、早々に辞任表明した。

アイルランドはカトリック教徒が9割を占める。1990年代ごろまで同性愛は処罰の対象だった。2015年の国民投票で同性婚が法制化された時には「カトリックの国で社会革命が起きた」と、世界に衝撃を与えた。

その後、18年に人工妊娠中絶の自由化、19年に離婚法の自由化が可決するなど、カトリックの伝統に反した法改正が続いた。一連のリベラルな法改正を主導してきたバラッカー氏自身は同性愛者である。

アイルランドは伝統的に家族や家庭を重視する国。欧州諸国の中でも高出生率が維持されている。一方、日本も家族を大切にする国だが、女性の社会進出も出生率も、どちらも厳しい。国民投票の条件が厳格な日本ではあり得ない話だが、もし日本でやったらどうなるのか。

善悪の基準が曖昧な日本人はメディアがつくる世論に流されやすい。直近の同性婚訴訟の札幌高裁判決などを見ると、むしろ日本が心配になる。

(光)

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