
ブラジルでデング熱が大流行している。保健省によると、3月末までに昨年同期比で倍以上の300万人超が感染したという。デング熱は、蚊を媒介とした熱帯性のウイルス感染症だ。
筆者の周りでも、デング熱に感染したという隣人や知人は多い。原因不明の腹痛と体調不良を訴えて病院に行ったところ、たらい回しにされた挙げ句、最終的に血液検査でデング熱と診断されたアルゼンチン出身の知人もいる。
知人いわく、ブラジルでデング熱が流行していることは分かっていたが、母国ではあまり馴染(なじ)みがない伝染病だったこともあり、自分がデング熱に感染するとは想像もしなかったという。
筆者はこれまでに2度デング熱に感染したことがある。特に2度目は肝臓の痛みが我慢できないほどになり、点滴で痛み止めを処方してもらうほどだった。
特効薬や治療薬がないために対症療法が基本だが、死亡や重症化の危険性がそれほど高いわけではない。ただし、厄介なのが、肝臓や腎臓の機能が落ちることに加えて白血球が減少することで抵抗力が大きく落ちることだ。
そのため、デング熱への感染が分かった場合は、毎日のように血液検査を行い、重症化や合併症の兆候などを見逃さないようにする必要がある。筆者も、2度目の感染では白血球数が危険値近くにまで下がり、入院寸前になった。
このデング熱だが、温暖化の影響から世界的な流行が危惧されている。海外からの旅行者が急増している日本でも警戒を怠らないことが肝心だ。(S)