
「生物多様性増進活動促進法」が成立した。多様性保全のため企業などが地域を設定し環境省が認定してきた「自然共生サイト」を法制化するものだ。外来種駆除の手続きなどが簡素化され、取り組み企業のブランド価値を高め後押しする。
政府は生物多様性国家戦略で、2030年までに陸域と海域の30%以上を保全する「30by30」を目標に掲げている。国家戦略では「ネイチャーポジティブ経済」を打ち出しており、企業の取り組みの活発化を促す。
保全の方法としては自然公園などに指定することが進められる。海辺の自然を守るには自然海浜保全地区などが設定されている。そういうサイトを拡大し、環境を保全しなければ、絶滅の危機に瀕(ひん)する希少生物も少なくない。今後の拡大が期待される。
一方、保全地域以外の身近な所で生物の多様性が急速に失われていることに危機感を覚える。例えば、昔は公園や緑地であればどこでも見られたダンゴムシ、カタツムリも最近はなかなか目にしない。夏の夜は街灯に虫が群がり、家の軒灯のそばにはヤモリがいたが、ほとんど見なくなった。
取るに足らないような虫や小動物だが、その姿が見えなくなったのは生物多様性の衰えを身近に感じさせるものだ。生活していく上で困ることはないのだが、寂しく感じる人もいるだろう。
背景に自然界の大きな異変があるのではないかと危惧される。身近な生物多様性についても本格的に調査すべきだろう。