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宇宙創成時の万物に質量を与えた「ヒッグス粒子」の存在を提唱し、2013年にノーベル物理学賞を受賞したピーター・ヒッグス英エディンバラ大名誉教授が亡くなった。宇宙創成論議を大いに活性化させた人物だ。
宇宙が生まれたばかりの時に現れたヒッグス粒子。その存在は逆に言うと、宇宙が偶然できたのではないことの証拠でもある。その後、原子や分子が構成され、星や銀河が誕生、発展していった。
宇宙全体を示すのに頭がしっぽを食べている「ウロボロスの蛇」図がよく使われるようになった。頭に近いほど大きな存在(地球→銀河→宇宙)、しっぽに近いほど小さな存在(細胞→原子→素粒子)が描かれている。宇宙の在り方と素粒子が密接に関わっていることをよく表している。
ヒッグス粒子の発見は、ノーベル賞学者の南部陽一郎博士の研究成果が土台にある。ヒッグス氏も「ひらめきを与えてくれた」と話していた。南部博士が見いだした「真空に起きた自発的対称性の破れ」の理論を基にヒッグス粒子のアイデアを提唱、12年に発見された。
この粒子の振る舞いには未解明の部分が多い。宇宙創成直後の状態を人為的に再現させる実験装置の一つ、国際リニアコライダー(ILC)建設が待望され、候補地に岩手県山中が挙がっている。
人工振動が少ない土地のためだが、専門の学者が多いことも理由。わが国は宇宙創成の謎を解くトップランナーであることに自信と誇りを持っていい。