3月31日と4月7日、首都ヘルシンキや近郊の湾岸都市に強烈な硫黄のような臭い、あるいは腐った卵か下水のような悪臭が広がった。ヘルシンキ救助局を中心に警察、国境警備隊、気象研究所、環境研究所、および緊急対応センター庁が共同で包括的な調査を行ったが、悪臭の原因は突き止められずいまだに謎のままだ。
しかし、大気汚染や放射線の問題はなく、公衆衛生上の懸念を取り除くことができたのは幸いだった。人々は外出を控え、窓を閉めて自宅にこもったりした。また、救助局は人々に何らかの症状が出た場合は医師の診察を受けるようにとの勧告を出した。
筆者はほとんど自宅に滞在していたので悪臭を感じることはなかったが、友人たちは一様に悪臭を経験したという。ただ、ロシアの都市サンクトペテルブルクで現地メディアが不快な臭いに対する住民の苦情を報じたことから、この謎の臭いは国境を越えてやってきたと考えられている。
環境研究所は4月1日に、悪臭の原因はおそらくサンクトペテルブルクにある工業地帯から排出された産業廃棄物とみられると発表したが、7日になると悪臭の原因は風向きからみてバルト三国の一つ、ラトビアにある沼地からではないかという新たな推測も公表した。
原因が何であれ、さまざまな機関の調査やソーシャルメディアでの人々の臆測にもかかわらず、今のところ何が起こったのか解明はできていない。悪臭の原因は当分謎のままだろう。(Y)