3日に発生した台湾付近を震源とする地震により、沖縄に13年ぶりとなる津波警報が発令された。午前9時すぎ、けたたましい警告音と共に避難を呼び掛ける防災無線が鳴り響き、メディアは一斉に緊急速報を放送した。
すると間もなく、本島沿岸付近の道路は高台に向かう車で大混雑となった。警察は円滑な避難誘導のため一部区間の道路全車線を内陸部へ向けて一方通行に切り替えるなど対応したが、津波の予想到達時刻を過ぎても渋滞は解消されなかった。中には車を路肩に止めて、近くの高台に向かう人もいたとされ、それによりさらなる渋滞が引き起こされた。
幸いにも津波は、与那国島で最大波30㌢が観測されたのみで、大きな被害をもたらすことはなかったが、津波対策を含め、緊急時の沖縄における諸課題が浮き彫りとなった。
車社会における交通渋滞の問題は本コラムでも幾度も扱ってきたが、今回のような災害が発生した場合、命に直結する問題となることが改めて示された。
災害発生時に、闇雲(やみくも)に車で高台を目指すのではなく、ハザードマップなどを活用し、自宅や職場周辺の徒歩で避難可能な建物や高台の場所を日頃から確認しておく必要がある。道路は高齢者や身体障害者など、車での避難を余儀なくされている人や、緊急車両が通行できるように空けておかなければならない。
このほか、土地勘のない観光客の避難誘導の問題や、そもそも高台がない離島地域の避難場所をどう確保するかの問題もある。
今回、県内幾つかの在沖米軍施設が基地内を避難通路として解放した。県は災害時に県民の命を守り、円滑な避難を進めるためにも、日頃から米軍や自衛隊と密に連携を取っていく必要があるだろう。
(K)