トップコラム【上昇気流】(2024年4月9日)

【上昇気流】(2024年4月9日)

輪島塗の屠蘇器

英語で中国を表す「チャイナ」は「陶磁器」の意味にも使われることは結構知られている。同じように「ジャパン」が「漆器」を表すことを知る人は意外と少ない。
能登半島地震で大きな被害を受けた石川県輪島市で、県の「創造的復興プラン」に住民の声を生かそうと「のと未来トーク」が開かれた。アシスタントとして参加した慶應義塾大学教授の安宅和人さんが、参加者に同じ質問をしたが、さすが日本を代表する漆器の産地だけあって知っている人が結構いた。

かつて漆器の技術は中国から伝わってきたと考えられていた。ところが、北海道函館市で発見された漆器6点を放射性炭素年代測定で調べたところ、中国より遥(はる)かに古い約9000年前のものであることが分かった。さらに福井県の鳥浜貝塚から出土したウルシの枝が、約1万2600年前のものと確認され、日本では縄文時代草創期からウルシを利用していたことが分かっている。

石川県は輪島塗のほか金沢漆器、山中漆器も有名だ。木地の材料となるアスナロなどの木が多く生育し、湿気の多い気候風土が、空気中の水分を吸収して固まるウルシの性質に合っているのだ。

安宅さんは「皆さんはジャパン(日本)を背負っている。頑張ってください」と参加した人たちを激励した。

訪米した岸田文雄首相は、バイデン大統領への手土産に輪島塗を贈ることを検討しているという。大統領に日本の漆器がどんな歴史を持つのかも伝えてほしい。

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