沖縄の海開きは日本で最も早い。3月16日に石垣島の南(ばい)ぬ浜で海開きが行われたのを皮切りに、4月には沖縄本島各地でも本格的な海開きが始まる。
快晴の青空の下、水しぶきを上げながら子供たちが海水浴を楽しむ姿はまさに一足早い沖縄夏の風物詩だ。
ただ、海水浴で気を付けなければならないのが海難事故だ。家族や友人が溺れてしまったり、ボートが転覆してしまったりするなどの事故が発生すれば、楽しいレジャーが悪夢へと豹変(ひょうへん)する。
そのような場面に遭遇してしまった時に備えて覚えておきたいのが海上保安庁直通の「118番」通報だ。警察の110番や消防の119番のように覚えやすい局番なしの3桁番号で、2000年から運用が開始されている。
しかし導入から20年以上経過しているにもかかわらず、認知度は高いとはいえない。昨年1年間の通報のうち、間違い電話や無言電話など「非有効架電」が占める割合はなんと99%だったという。
無言電話の場合、一概にいたずらだと断定できないため、確認のため折り返しても連絡がつかない場合、航空機などを派遣し確認を行うケースもある。海保は限られた人的・物的リソースの中で警戒監視や人命救助に当たらなければならないため、通報の正確性の向上は喫緊の課題となっている。
海保は、118番通報が必要な状況について、海難事故以外にも、「油の排出を目撃した時」「不審な船を発見した時」「密航・密輸事犯の情報を得た時」などを挙げている。
四方八方を海に囲まれた沖縄県民はもちろん、多くの国民が118番通報の存在を正しく知り、活用できるようになることで、悲惨な海難事故が一件でも少なくなることを願うばかりだ。
(K)