【上昇気流】(2024年4月3日)

「このコンピューターはトロイの木馬ウイルスに感染しています」――。いきなりパソコンがフリーズし、マウスもキーボードも反応しなくなった。女性の甲高い声が「表示されている番号に電話を」と繰り返し告げている。

先週の深夜のことだ。さて、どうすればいいものか。こちらの思考も固まってしまった。それで息子に連絡すると幸いにも起きていた。「成り済まし詐欺だよ。電話しないで」と言う。フリーズの解除方法を教えてもらい、パソコンのセキュリティーチェックを確認して事なきを得た。

新聞を見ると、60代男性が表示された番号に電話し、相手の指示に従ってコンビニで電子マネーを購入し220万円分をだまし取られたと報じていた。これまで高齢女性が狙われたが、今や性別も年齢、場所、時間も関係ない。あの手この手のサイバー犯罪だ。

戦後、地域で活動する警察は「外勤警察」と呼ばれたが、1994年に「地域警察」に改めた。このほか「防犯部」を「生活安全部」、「警察官派出所」を馴染(なじ)みのある「交番」へと名称を変え、地域と一体で安全確保に臨んできた。

それから30年。警察庁は1日、「サイバー特別捜査部」を関東管区警察局に設けた。全国を管轄区域とし、捜査権も付与され、新たな犯罪に立ち向かうという。

いつの時代も「事件は現場で起きている」。その現場がサイバー空間になっても被害者は地域にいる。「地域と共に」の精神は忘れないでほしい。

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