【上昇気流】(2024年4月1日)

企業間の熾烈(しれつ)な人材獲得競争がありそう――2025年春に卒業する大学生らの採用活動に認められた「採用直結型」インターンシップ(就業体験)を主要企業の約7割が導入したことが、時事通信のアンケート調査で分かった(小紙3月26日付)。

従来、インターンシップ期間の学生情報は採用選考の参考にできなかったが、それが可能に。記事にあるように「採用活動の主戦場」と位置付けられ、企業側はこの間、“狙った獲物は逃さない”意気込みで新卒予定者に対処してくるはずだ。

企業が隠したくなるような悪い数字がある。20年3月大卒の3年以内の離職率は32・3%で、その割合は年々増している(厚生労働省)。これ以上の増加を阻止するのにも、眼力が要る。

十数年前、一流電器メーカーの子会社の一つで優良企業の社長から「採用を決める私の面接は、今まで1割しか当たっていない」というぼやき半分の話を聞いたことがある。そんなものだろうと思ったりしたが、人材選抜の難しさを表している。

国際化、世界的競争の荒波にもまれる企業社会。いま企業は、大学院博士課程修了の研究者に対して必ずしも触手を伸ばさないという。博士レベルでは即戦力になりにくいことや、果たして将来性があるのかという疑問がその理由のようだ。

ともあれ、“企業は人なり”。普段から大学側といわゆる「産学協同」の企画をもっと多く持って、将来の人材育成に力を入れてはどうか。

spot_img
Google Translate »