【政界一喝】首相の延命は甘くあるまい

内閣支持率の低迷が慢性的に続く岸田政権。国民主権の観点からすると、不支持の政権を泳がせつつ、不本意ながらこれに甘んじて傍観せざるを得ない状況を示す。この事態が国益に反することは自明である。だがその低迷政権を率いる自民党総裁、政府では首相という権力者は今日、自身の延命を性(さが)としている。政局は3月末までの令和6年度予算成立後の自民党内、「岸田VS反岸田」を巡る生ぐさい攻防に入っている模様だ。

政治資金不記載問題への場当たり的対処から昨年末に岸田氏は、党内主流派領袖らへの根回しなく自派閥の解散宣言を行った。これが安倍派、二階派、森山派などの派閥解散へと広がり、全体として自民党国会議員の7割が無派閥化、従来の党内派閥力学と機能が良くも悪くも失われた。結果として、岸田氏の党内権力が相対的に強化された側面がある一方、党内また政府における岸田氏への支持構造が揺らいだ現実もある。

永田町ウオッチャーからは、安倍元首相が選挙に勝ち続けた強さの基(もとい)が、固定支持基盤としての「岩盤保守層」固めにあった、とよく聞く。そこからすると、岸田首相の低空飛行の一つの原因は自身の政治ビジョンを支えるコアな支持層をしっかりつかんでいないから、と導かれる。その点、就任以来の2年数カ月の政権運営を通じて、もはや「没政治ビジョン」としての印象が定着した岸田首相においては、スタート時点から躓(つまづ)いていることになる。国民になるほどと響くコアな政治ビジョンを掲げて貫くことはついぞなく、逆にポピュリストとして、時流に合わせて数の取り込みを画策してきた。だがその手法は通用しなかった、との分析が可能だ。

岸田氏に特徴的な同盟国・米バイデン政権への追従志向は、安保政策の強化となる一昨年末の安保関連3文書の改訂を含み無難な印象を与えがちだ。しかし駐日米大使のあからさまな内政干渉の態度を許し、また彼の一方的な見解の発信を招き入れた。

「共生社会と人権」のテーマで先月、岸田氏が発信したビデオメッセージとその英訳文書でも、少数への配慮と尊重を掲げるトーンが、本質的には日本国民の自尊心を毀損(きそん)している。有史以来の日本の国の形や伝統を再確認する中に、共生や人権尊重の考え方を十分に包摂し、多文化の時代にも積極的に対応していく、という程度の文章構成すらなぜできないのか。支持率低迷さもありなん、である。

バイデン大統領の都合に応えてきた報酬のごとく招かれる4月国賓訪米と、政治資金問題での党内安倍派幹部らの処分権を持ち駒としながら、首相専権事項としての衆院解散権と自公で過半数の選挙結果を読んで今日、岸田氏はさしずめ将棋でいう終盤戦といったところか。

しかし外国人による購入が多かった政治資金パーティーを、しかも自粛を要請されている閣僚として2022年に何度も開催した岸田氏。政治資金規正法違反で会計責任者が刑事立件された岸田派の長であった岸田氏が、安倍派をスケープゴートにして国民に許されるのか。(駿馬)

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