【上昇気流】(2024年3月26日)

日本相撲協会の八角理事長(右)から賜杯を受け取る尊富士=24日、エディオンアリーナ大阪

大相撲春場所で、尊富士が110年ぶりの新入幕優勝を遂げた。初土俵から10場所での優勝は史上初。殊勲、敢闘、技能のトリプル受賞ほか、昭和の大横綱大鵬と並ぶ、新入幕で初日から11連勝など記録ずくめの快挙だ。

14日目の朝乃山との一番で右足首を負傷し、眠れないほどの痛みに耐えて千秋楽を迎えた。兄弟子の横綱照ノ富士の「おまえならできる」の言葉に奮い立った。そのガッツは相当なものがある。

優勝インタビューでは「記録も大事だが、皆さんの記憶に一つでも残りたくて必死に頑張った」と語った。記憶に残る力士となるには、これからどんな名勝負を行うかに懸かってくる。そのためには良きライバルが必要だ。

大鵬と柏戸、輪島と北の湖などライバルが数々の名勝負を残した。「柏鵬時代」「輪湖時代」などという呼び方も生まれる。

そういう点で、最後まで尊富士と優勝を争い、2場所連続で11勝を挙げた大の里の今後にも目が離せない。敢闘賞、技能賞もダブル受賞している。尊富士より1歳若い23歳。まだ髷(まげ)も結えないが、大きな体を生かした突き押しの圧力、腰の重さは間違いなく大器のそれだ。

「荒れる春場所」と言われる通り、照ノ富士の途中休場や大関霧島の2桁黒星など上位陣の不振もあった。しかし、それ以上にちょん髷とざんばら髪の2人の若武者が巻き起こした「春の嵐」が土俵を沸かした。両力士の素質、実力から見て、この嵐、季節性のものではなさそうだ。

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