トップコラム財布が返ってきた驚き ブラジルから

財布が返ってきた驚き ブラジルから

筆者は、あまり落とし物や忘れ物をしない。これまでの人生でも両手の指で足りるほどだが、そのうちの2件がブラジルでのことだ。一つは、サンパウロ市内の美術館を観覧中にお気に入りのシャツを置き忘れてしまった。これは館内受付に届けられていた。

もう一つは財布だ。数カ月前になるが、ブラジルでも大人気の「ゴジラ・マイナスワン」を市内の映画館で鑑賞した。筆者は普段、財布を後ろポケットに入れているのだが、落としたり、人混みの中でスリに遭う危険などを感じた時には、必ず前ポケットやカバンの中に入れる。

しかし、この時は、話題の映画が見られることや、映画の内容に集中したことから財布を後ろポケットに入れたまま鑑賞し、そのまま映画館を出てしまった。

財布がないことに気づいたのは、映画館が入っているショッピングモール内でコーヒーを飲んでいた時のことだ。慌てて映画館に向かったが、それなりの現金やカード類が入っていたこともあり、内心は諦めていた。

駄目元で映画館のスタッフに聞いたところ、清掃スタッフが座席下で見つけて事務所に届けた財布があるという。事務所で確認を済ませ、無事に財布が返ってきた時の驚きはブラジル生活の中でもあまりないものだ。

清掃スタッフがチョコレート好きだということを確認、モール内で詰め合わせを買いお礼を伝えた。大学生だという女性スタッフが見せた満面の笑みが今でも忘れられない。映画と人の心に感動した一日だった。(S)

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