朝夕の通勤ラッシュなど、慢性的な交通渋滞の打開策として那覇市は、次世代型路面電車(LRT)の導入を計画している。
LRTとは、従来の路面電車よりも床が低くバリアフリーに優れ、振動や騒音が抑えられている上に、電気で動くため二酸化炭素(CO2)削減にも貢献する次世代型の公共交通システムで、バスよりも一度に多くの乗客を運ぶことができる。
LRTは欧州などを中心に普及しており、日本では富山市や、栃木県宇都宮市などで導入されている。
沖縄にも戦前、路面電車のほか、各種軽便鉄道や馬車軌道が走っていたが、バスの普及や戦争によって次々と消滅。本土復帰後に沖縄都市モノレール「ゆいレール」として鉄軌道が復活し、現在県民や観光客の足として活躍している。
しかし、近年のさらなる鉄道需要の増加や慢性的な交通渋滞の解消を目指し、那覇市はLRTの導入を計画。今月計画素案を内定し、5月にもパブリックコメント(意見公募)を行う予定だという。
那覇市の計画素案を見ると、ルート案は那覇バスターミナル(泉崎)から南部医療センター(南風原町)付近までを結ぶ東西路線と、古波蔵エリアと新都心エリアを結ぶ南北路線の二つで、ゆいレールとはおもろまち駅など2カ所で接続する。
LRT軌道には主に4車線道路の内側2車線を使用する予定で、停留所の確保などで一部用地買収も必要になる見込みだという。市は今後、2030年代の開業を目指し、パブリックコメントをもとに、国や県、警察との調整を本格化させていくとしている。
定時制に優れた新たな公共交通機関が誕生すれば、観光促進だけでなく地域経済の大きな発展にもつながりそうだ。
(K)