大質量の恒星などが起こす大規模な爆発「超新星爆発」は、宇宙で最もエキサイティングなイベントの一つと言われる。超新星は、この爆発で輝く天体のことだ。
このほど、爆発した超新星の残骸で地球から約7000光年の距離にある「SN1006」が、直径65光年もある球状天体に成長しているのをX線天文衛星「XRISM(クリズム)」が捉えた。宇宙科学研究所(ISAS)が開発した衛星だ。
公開された画像を見ると、長い繊維状のガスがクモの巣状に絡み合って心臓のような形状。その中心核が全体としてのまとまりを形成しているとみられる。実際のサイズなどを考慮すると、何とも描写できない巨大な生命体のような存在に息をのむ。
現在も秒速5000㌔で膨張を続けており、この残骸を観察することで宇宙の元素の秘密を明らかにすることができるという。1987年には、16万光年離れた所で起きた超新星爆発で発生した素粒子のニュートリノが地球に飛来した。
その時、小柴昌俊氏(故人)が、岐阜県・神岡鉱山の地下1000㍍にあった観測装置「カミオカンデ」で世界初の観測。2002年ノーベル物理学賞を受賞し、宇宙・天体物理学の新分野を拓(ひら)いた。
その後小柴氏は日本の基礎科学の行く末に危機感を抱き、科学者を育てるため財団設立に私財を投じた。今、世界中の科学者がしのぎを削って追究する元素や宇宙創成の謎の研究に日本人科学者も大いに力を発揮したい。