
米国の首都ワシントンでカージャックが急増している。そう伝える小紙6日付の「地球だより」に驚かされた。
昨年発生したカージャックは958件に上り、犯人のうち逮捕されたのは2割にも満たないという。これって、1990年代の米国ではないか。思わずタイムスリップした。
その頃の米国では、殺人は21分ごと、レイプは5分ごと、強盗は45秒ごと、傷害は29秒ごとに発生する「犯罪社会」だった。20歳の黒人男性は第2次大戦の兵士よりも命を失うリスクが高いとされた。ニューヨークの地下鉄は怖くて乗れなかった。
なぜ、こうなったのか。94年の中間選挙で上下両院の過半数を制した共和党のリーダー、ニュート・ギングリッチ氏は生温かい刑事司法が一因と考え、下院議長に就くと直ちに「街頭奪回法」を成立させた。警察を強化し、犯罪者には厳しく臨んだ。
だが、それだけでは解決しない。真の復興のカギは「家庭」にある。そう確信するギングリッチ氏はこう宣言した。「家庭は米国社会の核心で、家庭を通じて責任、道徳、誓約、信仰などの価値観を守る。ニューディール(33年)以来の政府最優先の後、共和党は家庭を最優先する」。その後、地下鉄にも安心して乗れる米国に戻った。
それが再びの犯罪社会か。「地球だより」は警察を敵視する左派運動の当然の帰結としている。彼らは家庭も敵視している。今一度、「家庭の価値」を取り戻す時ではなかろうか。