
先日、なんだかミカンが食べたくなって買い求めたところ、味がいつもとは違って感じられた。もはやミカンの季節ではないのだろう。
ハウス栽培の野菜などと違って、ミカンは季節の果実である。もちろん、ミカンの種類によっては今頃が旬のものもある。
このミカンは、古事記や日本書紀に出て来るので有名だ。第11代の垂仁(すいにん)天皇の時代、天皇は渡来系の子孫であるタジマモリ(古事記では「多遅摩毛理」、日本書紀では「田道間守」)に命じて、常世(とこよ)にある不老不死の果実である非時香果(ときじくのかくのみ)(橘(たちばな)ののことで、ミカンとされている)を探させた。
タジマモリは苦労の末、実を見つけてきたが、その時は天皇が崩御(ほうぎょ)されていたという話である。この話自体、中国の古代の秦の始皇帝が不老不死の薬を徐福に求めさせた話と似ている。
その真偽はわからないが、ミカンが不老不死の実に例えられたのは、やはりそれまでに日本にはなかった、不思議な香りをもつ果実だったからだろう。
ミカンの皮をむくと、意識が鮮明に刺激されるような香りを放つ。その効果を感じれば、何か不思議な作用を古代人はミカンに覚えたのかもしれない。
人間は限りある人生の中で、不老不死ということを求めてきた。エジプトのミイラやその他宗教的な葬式などは、こうした死後の世界でも生きるという永生の願いが背景にあるからだろう。
(羽)






