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カジュアルな葬式 フィリピンから

フィリピンの庶民的な住宅街では、路上で葬式が行われることが多い。路地に設置された仮設テントに棺(ひつぎ)が鎮座していて、ちょっとのぞき込めば死者の表情も見えてしまうのではないかと思えるほどの距離感だ。

特にもともとスラム街だったような場所を区画整理した住宅街は、細切れの土地に小さい家が建っていることが普通だ。単純に家の中に葬式を行うスペースがないので屋外となるのだろう。初めて見たときはギョッとしたが、どれだけ近所で人が死んでいるのか可視化されるので死因なども気になってしまう。

フィリピンの葬式では葬儀費用を捻出するという名目で、香典代わりのギャンブルが認められている。棺桶(かんおけ)の前でテーブルを囲みトランプや麻雀(マージャン)をやっている光景が普通なので、葬式と言ってもあまり悲壮感はない。

棺の周りで若い女性のマーチングバンドが演奏する台湾の葬式の動画を見たことがあるが、フィリピンでもカラオケ大会が行われたりと死者を明るく送り出すのが基本で、日本の「しめやかな葬式」とは違った価値観なのだ。

ちなみにフィリピン人の死因トップは心臓病だ。塩分や糖分、油分が多い食生活や極力歩かない生活様式から高血圧を患う人が極めて多く、脳梗塞やくも膜下出血なども死因の上位を占めている。日本人がフィリピンで健康を維持するには、最低限の自炊は必須だ。

(F)

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