路傍のオアシス インドから

インド風ドリンクというと、定番はラッシーにチャイだろう。
スパイシーなインド料理に合うのはラッシー。熱く火照った体を冷やしてくれるので重宝する。実によくできていると思う。

だが路地裏歩きが趣味の私が好むのはチャイだ。安物の紅茶を煮出したっぷりのミルクと砂糖、それにいろいろなスパイスを混ぜる。14億人の人口大国インドは表通りの人混みは言わずもがなだが、路地裏でも結構の人通りがあったりする。歩き疲れるというよりは、人いきれに圧倒されてしまうときのオアシスは辻々で路傍販売されているチャイだ。

1杯5ルピー(約10円)とリーズナブルで、しかもうまい。いっぱい歩いているから、どんなものを口に入れてもうまいという事情はあるものの、カロリー補給というだけでなく本当にうまいのだ。

そのうまさの理由は2、3ある。チャイは糖分控えめどころか、目いっぱい砂糖を入れて作られる。日本だと1杯に砂糖は2㌘程度だろうが、こちらは20㌘といった具合だ。肉体労働が多いインドでは当然、砂糖消費量は多くなる。

さらに、暑いときに熱いものを飲み、しかもスパイスの種類はクミンなど最低5種類は入っている。この熱く多様なスパイス効果で発汗作用を促し、実にすっきりするのだ。

飲んだ後の儀礼もいい。チャイは普通、おちょことティーカップの中間ぐらいの赤い素焼きの器に入れて出してくれるのだが、飲み終わったらバンと地面にたたきつけ割ってしまう。(T)

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