
観光庁は2024年度、世界の富裕層を中心に需要が高まっている「食」を切り口とした観光プログラムの開発を支援することになった。山菜など食材の採取や文化体験の拠点となる施設を整備する地域の事業者に対し、その費用の半額を補助する。
地元の食材を堪能してもらい、伝統文化の体験と合わせて1回の消費額が100万円を超える旅行商品の開発が期待できるという。
数年前、トルコに行きイスタンブールにあるデパートの女性社長と食事を共にした時、「毎年、日本のここかしこに出向いて日本料理を楽しんでいる。土産の菓子類を小学生の息子はとても喜んでいる」と食の話題で話が弾んだ。
日本の国土は南北に長く、海、山、里と表情豊かな自然が広がり、各地で地域に根差した多様な食材が用いられる。彼女は食材の豊富さもさることながら、味付けの妙に感心していた。
愛知和男著『次世代の日本へ』に「(地方再生は)物品の行き来だけでなく、伝統や文化についても受容と発信を続けてゆき、自由で快適な誇ることができる町作りを、自ら手がけなければならない」とある。この観光プログラムは地方再生も進めようと意図しているところがミソ。
「和食」のユネスコ無形文化遺産登録(13年)を契機に、国内外で和食に対する関心がさらに高まっている。食文化を起爆剤に地産地消、地方創生さらに訪日外国人の増加――そうだ、この手があったじゃないかと思わせる。