
「遺言書一日延ばしで認知症」。2023年第8回「ゆいごん川柳」に入選したペンネーム・鶴の長命さんの作。思わず笑ってしまったが、高齢者の3人に1人が認知症およびその予備軍という時代、現実味もある。
佳作の「遺言は死ぬ前よりもボケる前」(jumarosaryさん)は、そのまま標語としても使えそうだ。他の入選作「AIに自分で書けと叱られる」(風まかせさん)は、遺言の意味と重みを考えさせる。
大賞の「我が子なし母なる地球に遺贈する」(ヒジキさん)は、全日本川柳協会の選評が言うように「大賞にふさわしいスケールの大きな作品」だ。地球環境への関心の高まりなども背景にありそうだ。
サラリーマン川柳はよく世相を映す鏡と言われるが、ゆいごん川柳も同じ。この大賞作は、いわゆる「おひとりさま」が増え、相続人がいないケースも多くなっている時代を映している。
そういう人の場合は普通、遺産は国庫に収蔵される。しかし最近は、遺贈という形で慈善団体などに寄付する事例が増えている。年間で総額284億円にも上っているという。
ゆいごん川柳は広く一般から募集し、主催の日本財団が「遺言の日」とした毎年1月5日に発表される。万一の場合、残された家族にトラブルが発生しないようにという遺言作成キャンペーンの一環だ。遺言は終活の締めくくり。でも「書き終えて安心したか余生延び」(江戸川散歩さんの佳作)ということもある。






