トップコラム【東風西風】献上された女流俳人・千代女の句

【東風西風】献上された女流俳人・千代女の句

「朝顔やつるべとられてもらひ水」

江戸時代を代表する女流俳人・加賀の千代女(1703~75年)の句だ。石川県白山市の「千代女の里俳句館」には、彼女の多数の作品を展示し、その功績を顕彰している。千代女の実家が表具屋だったこともあり、同館は商家風の落ち着いた外観で、「朝顔や~」を詠んだ人形や直筆の掛軸などが並んでいる。また、AV室では千代女の生涯や美しい映像を背景に季語が紹介され、子供から大人まで、俳句に親しめる施設になっている。

千代女の業績で注目されるのは、作品の一部が晩年、加賀藩主の命により、朝鮮通信使に献上されていることだ。こうした縁もあって、近年、千代女の句が韓国でも紹介され、話題となっている。

表具師の娘として生まれた千代女は、幼い時から俳諧をたしなみ、17歳の頃にはその才覚を発揮し始めた。千代女の名が広く一般に知られる契機となったのは、宝暦13(1763)年の「朝鮮通信使献上句」だった。同通信使の接待役を幕府より命じられた加賀藩前田家は、千代女に白羽の矢を立てた。

千代女は6本の唐紙の掛軸と15本の扇に、「福わらや鹿さへ今朝のうつくしさ」など自選の21句をしたためて献上している。時に61歳だった。彼女はこの栄誉を子孫にも伝えたいと、21句を別に清書し、表装して掛軸にし家宝として残した。その後も73歳で没するまで、精力的に句を詠み、生涯に1700点余の句を残している。

(仁)

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