
【地球だより】100年続く高校生の行事
スローガンやイラストが描かれた横断幕を掲げた何十台のダンプカーが、仮装した高校生たちを荷台に乗せて市内をゆっくりと走り回る。高校生たちは道路脇に集まった人々にキャンディーを投げたり、手を振ったり、スローガンを叫んだりしながらパレードを盛り上げる。小さな子供たちは、投げられたキャンディーを、先を争って集めている。
これは、毎年2月に行われる「ペンカリット」と呼ばれる100年以上続いている伝統行事だ。初期の頃は馬ソリが使われたが、今ではダンプカーの行列に姿を変えた。参加するのは高校最後の授業を終えた3年生たちで、3月に行われる全国一斉卒業試験の準備に専念する前の学校最終日に行われる。高校生活のすべての鬱憤(うっぷん)などを晴らす、歓喜の「カーニバル」なのだ。
スローガンのテーマは、機知に富んだ一言や社会的または政治的なコメントで、衣装はそのテーマに沿って選択する。以前は全国の高校で同時に行われたが、今年施行された教育改革策により、それぞれの学校が開催日を独自に決定できるようになった。
今月初めの木曜に首都圏で行われたペンカリットは、氷点下の寒い日にもかかわらずダンプカーの高校生は歓声を上げて手を振り、道路脇の人々も手を振り返した。投げられたキャンディーを小学生や小さな子供たちが一生懸命集めている光景を見ると、100年以上もフィンランドで続いてきたことが納得できる。(Y)