
エルサレムのヘブライ大学を訪れた。コロナ以前は、よくアジア系学科のイベントを見学したり、日本語学科の学生と会話をしたりした。
4年ぶりの大学の外観はずいぶん変わり、セキュリティーチェックも厳しくなっていた。記者証があれば以前は大学内に入ることができたが、今はだめだという。改めて出直そうかと思っていたところ、偶然にも大学のセキュリティーとして働いていた知り合いを見つけ、運よく入ることができた。
通常なら2月は大学の前期期末試験中だ。しかし、昨年10月に始まった戦争で新学年のスタートが大幅に遅れたため、試験が3月にずれ込んだ。しかも、3カ月間で学ぶ内容を2カ月に詰め込んだため、日々大量の課題をこなさなければならない学生は、本当に気の毒である。
イスラエルのほとんどのユダヤ人は、女性が2年、男性が3年の兵役期間を終えてから大学生活を始めるので、20代前半の学生が多い。学生たちに話を聞いてみると、大学1年の授業が始まる直前に予備役で招集され今やっと大学に戻れたという学生や、卒業間近で招集されていたため卒論を1カ月で仕上げてまた軍隊に戻るという超人的なスケジュールをこなしている学生もいた。
大学内は以前と変わらず、ユダヤ人もアラブ人も外国人もみんな同じ学生として一緒に勉強していた。戦争中の重い空気は学生たちから感じられず、よりよい将来を見据えて、難しい現実にも対応しながら自分の道をしっかりと踏み出している姿がそこにあった。(M)