【上昇気流】(2024年2月5日)

IAEA本部 (オーストリア ウィーン)(Wikipediaより)

国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長は昨年末に「北朝鮮の寧辺にある建設中の実験用軽水炉が臨界に達した兆候がある」と憂慮する声明を発表。韓国国防省も「今年夏ごろに本格稼働」という見方を示した。軽水炉の運転が本格化すれば、北朝鮮はプルトニウムの新たな供給源を確保することになる。

戦後、核の番人と言われるIAEAの査察体制が世界に広がり、軽水炉を中心に原発技術が進展、原子力の平和利用が担保されてきた。今、世界で運転中の原発の80%以上が軽水炉だ。

北朝鮮は1995年、国際機関から平和利用を条件に軽水炉の提供を受けることになった。しかし、その後核開発を加速させ計画は破棄された。既存の核施設が民生用であれば当時、査察を受け入れたと思われるが、それを拒否したのである。

今後、気候変動対策や経済安全保障の観点から新興国や開発途上国に原発の新規導入国が増える可能性が高く、それも軽水炉が中心だ。

北朝鮮はそんな事実は百も承知だろうが、核の査察を拒否し続け今回の事態に至っている。原子力技術の拡散やその結果としての核兵器への転用が懸念される。

IAEAはどのように査察体制を充実させるのか。予算や人員を増やすことが必要かもしれない。国際社会が戦後つくり上げた平和利用の仕組みを強化する時だ。既に先進国は新型炉建設に取り組んでいるが、軽水炉建設や運用のノウハウを新興国にできる限り教示することだ。

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