
「そういえば、しばらく現金を使ったことがない」。最近のブラジル生活では本当に現金を使わなくなった。1週間を通して現金を触っていないこともあるほどだ。
ブラジルはもともと、1990年代以降にクレジットカードの普及が大きく進んだことでキャッシュレス化が進んでいたが、2020年末にブラジル中央銀行が開発した即時決済システムの「PIX」が導入されたことから、現金利用そのものが時代遅れのものとなりつつあるのだ。
もちろん、日本でも東京近郊などの都市部で生活していれば、交通系ICカードとクレジットカードなどを組み合わせるなどして、現金の必要を全く感じないケースも増えた。しかし、手数料や決済機器の導入費などもあり、日本の有名な観光地においてさえ現金決済を求められるケースがいまだに多いことも事実だ。
一方、ブラジルのPIXが画期的だと絶賛される理由の一つに、手数料や決済機器が一切必要ないことがある。スマートフォンと銀行口座のアプリがあれば、携帯電話番号や納税・事業者番号をそれぞれの銀行口座に紐(ひも)付けることで、365日24時間、ほぼすべての決済が無料で行える。2者間の口座がPIX経由で直接つながるのだ。
ブラジルの決済システムに慣れてしまうと、日本での取引などで「振込手数料」の表示が出てきたときに戸惑うほどになってしまった。もちろん、日本の社会インフラや医療水準などさすが先進国だと思わされることは多い。
ただし、役所の届け出や各種支払い、ワクチン接種記録など高度にオンライン化されたブラジルの「IT先進国」としての実態を知ってしまうと、少子高齢化で社会保障費増大に悩む日本には、無駄を削ぎ落とす余地がまだまだあると感じてしまうのも事実だ。(S)






