【東風西風】新国立劇場の轍を踏むな

新国立劇場

東京三宅坂の国立劇場が建て替えのため閉場となったので、新春の歌舞伎公演を観(み)に、久しぶりに初台の新国立劇場に足を運んだ。舞台がはねて京王新線初台駅に行くうちに、感動がみるみる冷めていくのを感じた。

もともと新国立の評判は良くない。よく言われるのはそのアクセスの悪さだが、全体の雰囲気も好きになれない。設備はそれなりに整っているのだろうが、何か冷たい、お高く止まった感じが鼻につく。オペラ、バレエ、演劇など、いかにも拝見、拝聴するという感じで楽しむという雰囲気がない。

欧米の劇場は近くにレストランなど飲食店があり、その夜の舞台の感想を語り合う環境になっている。劇場が集中するロンドンのウエストエンドは、すぐ隣にソーホーの繁華街がある。舞台がはねるのは、10時ごろになるので、レストランなどそれに合わせて遅くまで営業している。

日本でも東京・歌舞伎座や京都・南座はそれに近い環境といえる。渋谷のBunkamuraオーチャードホールもそういう点では悪くない。

新国立は、政府が多額の資金を投入した施設だが、舞台芸術の楽しみを広く国民に伝え、新しい文化の創造につなげようという発想がどれだけあったのか、改めて疑いたくなる。

2029年に開場を予定している国立劇場は、「伝統芸能離れ」に歯止めを掛け、新規ファン開拓を目指すという。新国立の轍(てつ)を踏まないよう、よくよく計画を練る必要があるだろう。

(晋)

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