【上昇気流】(2024年1月19日)

集積場に搬入された災害廃棄物。地震の発生時刻の前後で止まった時計もあった=1月15日午後、石川県七尾市

能登半島地震で大きな被害の出た石川県七尾市から、旧友が第64回交通安全国民運動中央大会に出席するため上京してきた。市の交通安全推進隊の隊長を務め、功労者として表彰を受けたのだ。町内会長も務め、地震発生後、休む間もない日々を送る中、1、2日とはいえ、地元を離れることを躊躇(ちゅうちょ)したが、来てよかったという。

その最大の理由は、大会で秋篠宮殿下のお言葉を直(じか)に聞くことができたからだ。殿下は地震で亡くなった人たちへの哀悼の意を表され、さらに次のように述べられた。

「今日ここには、被災地からご出席の方がおられると伺いました。また、震災による影響を受けたり、身近な人が被災されたりした方もおられるのではないかと思います。ここに心よりお見舞いを申し上げますとともに、被災地の復旧・復興を、この大会の場から願っております」。

このお言葉を聞いて彼は「自分たちのことを言ってくださっている」と涙があふれたという。「このことを町内の皆に伝えよう」と言って、翌朝早く新幹線で被災地に戻って行った。

天皇陛下は警視庁創立150年記念式典に出席された際に、犠牲者への哀悼の意を表され、被災者へのお見舞いを述べられた。被災地に派遣された救助隊員とも面会され、労をねぎらわれた。

自然災害の多い日本で、天皇陛下はじめ皇族方が被災者に寄り添ってくださることが、どれほど大きな心の支えになっているか。旧友の話から改めて実感した。

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